伊岡瞬の「悪寒」を読んだ感想や評価!あらすじや犯人は?


伊岡瞬の「悪寒」を読みました。

国内ミステリー作品の中では、ランキング上位の作品でしたが、伊岡瞬さんの作品は、初めて読みました。

そこで、自分なりの評価を感想をまとてみました。

「悪寒」を読もうと思ったきっかけ

最近は、Kindleで本を読むのに慣れてしまい、この作品もKindleで買いました。

購入したきっかけは、今、どんなミステリーが売れているのかということを知りたくて、「屍人館の殺人」、「メインテーマは殺人」といっしょに購入したものです。

伊岡瞬さんのファンでもないですし、物語のあらすじについても、ほぼ先入観なしで読めたので、その点は、シンプルな読書が楽しめたと思っています。

浅いミステリーだった

贈賄疑惑事件に端を発し、社内の派閥争いに巻き込まれたサラリーマンとその家族が変化していく物語かと思いきや、単に中年サラリーマンの家庭における立場や認知症の実母、その面倒を見る妻、反抗的な思春期の娘、近所に住む独身の妻の妹、さらには妻の父親、母親を描いた物語でした。

そのためなのか、全編通して、浅い印象があります。なにか表面をなぞっただけのストーリーに感じてしまいました。

社会派ミステリー風な演出

大手製薬会社の販売促進課に勤務する主人公が、社内の贈賄疑惑の責任を問われ、山形県酒田市の関連会社に単身赴任で出向中という設定。

慣れない飛び込み営業と支店長の嫌がらせで日々、虚無感に苛まれ過ごしています。そんな中同僚の女子社員とふたりで居酒屋で飲んでいるところに東京にいる妻から「不審なメール」が届き、夜行バスで東京へ向かう途中で、自宅で会社の常務が殺害され、妻が犯人だということを知らされます。

社会派ミステリーかと思いましたが、真相は別のところにありました。

もっといえば主人公がサラリーマンであるというだけです。贈賄事件はあくまでも演出的なものに過ぎず、その点では、拍子抜けの感が拭えませんでした。

冒頭の法廷シーンとその後

冒頭の法廷シーンで、被告人の発言に思わせぶりなところがあります。これは、後半もしくはラストでその発言の真意などが解き明かされるのかと思っていました。

が、冒頭のシーンは最終的に真犯人がわかってからの場面でしたから、検察側と弁護側のやりとりも浅薄な印象のままでした。

ミステリーにおいて伏線はすべて回収されるべきか否か

殺人の動機は、贈賄疑惑や派閥争いとは別のところにあり、それはそれで意外性があり、良いと思います。

しかし、「メインテーマは殺人」のように無関係だった事件についてもきちんと結末や真相を描いてほしかったと思います。

上司の命令で贈賄疑惑につながる行為をした主人公が、なぜ副社長や常務、専務など会社の経営陣から目をつけられているのか?

何か本人が知らないような証拠とかを持っているのかなど何かを掴んでいる人物と見られているのかと思っていましたが、そんなことはまったくありませんでした。

また、出向先での支店長の態度や高森という女性社員が盛んに東京へいきたがっていた理由など、広げた伏線は回収されないままでした。

回収されない伏線については、読者としては勝手に想像して、楽しめる部分もあり、それ もありかと思います。

しかし、先に上げた点については、回収して欲しかったです。おそらく、贈賄疑惑に伴う派閥争いに何らかの結末を描くことで回収できたと思います。

未回収で良いのは、単独で成り立つ部分だけです。

真犯人の殺害動機は?

真犯人の殺害の動機については、屈折した心理から来ている印象を受けましたが、最後にどんでん返しがあります。

ただし、そうであるなら、真犯人や主人公がその違和感に気づかなったのはどうなのかなと思えてしまいます。

ある意味、復讐なのですが、どうしてもっと早く手を打たないのか不思議です。

「悪寒」の評価

評価として、点数をつけるとしたら、5点満点で2点です。

評価★★

というところです。

ただし、あまり深く考えずに、「娯楽」として楽しめるのは良いですよ。

つまらなくはないので楽しめたとは言えますが、ミステリーであるならば、「やられた」、「そうきたか」という衝撃度がないと、面白みはないかと思います。

そこがかなりインパクトに欠ける作品です。

あと、リアリティ性もやや弱いと感じました。

犯人が同じ思いをずっと持っていたのなら、それまでにも何らかの予兆がないとおかしいです。

ですので、最近になり、そのあたりの心境の変化を起こすきっかけなどが描かれているとより納得感があったかと思います。

まとめ

「悪寒」

つまらなくはありませんが、さらにこの作者の作品を読むかというと、ないです。

「痣」は評価が高いので、そっちを先に読んだ方が良かったのかもしれませんが、いずれにしても、悪寒を読んだ時点で、もう読まないと思います。

やはり、物語の中で登場させた人、モノについては、それなりの結論が見えないと物語として中途半端な印象になりますね。