「メインテーマは殺人」の感想・解説!登場人物や犯人は?実話なの?

「メインテーマは殺人」を読もうと思ったきっかけ

アンソニー・ホロヴィッツのメインテーマは殺人を読みました。

この著者の作品を読んだのは初めてです。きっかけは、アマゾンのランキングで見つけたからで、カササギ殺人事件の作者だったこともあり、読んでみました。

カササギ殺人事件は未読ですが、書店でよく見かけていたので、記憶にあり、その著者の次作で、売れているのだから面白いのかなと思い、Kindleで購入しました。

それでは詳しく解説していきます。

ホームズとワトソンの設定

読み始めて、すぐにアンソニー・ホロヴィッツ自身が、同名で作家として作品に登場します。

探偵役は、元刑事で警察の顧問であるホーソーンという男です。プライベートを語らず、服装に無頓着だが、ずば抜けた観察力と推理力を持つ人物で、これがホームズに似ているそうです。で、ホロヴィッツがワトソン役だそうです。

僕自身、それほどホームズシリーズを読み込んでいるわけではないので、気づかなかったのですが、解説にそう書いてありました。

探偵役は、自分の推理や観察したことは口にせず、結論だけを言葉にするため、そばにいるものにしてみれば、どうしてわかったのか?なんのことを言っているの?と摩訶不思議な気分になります。それはそのまま読者の気持ちだと思います。

ミステリーは、謎を最後まで隠して物語が進むジャンルですから、頭脳明晰な探偵役の行動や言動を理解できない凡人役がいないと読者の目線を真相から遠ざけさせることが困難になります。

つまり、探偵役の言動などを即座に理解できてしまうワトソンでは、ミステリーとしての構造を保てなくなるわけです。

それが、ホームズとワトソンという設定が今だに使われている所以だと思います。

ですから、本作の進行役であるホーソーンとホロヴィッツという設定自体は、ミステリーの王道をいくものだと言えますう。

実話なの?

著名な映画監督などが実名で出てくるし、実在する演劇学校などの出てくるので、実話なの?って思いました。そもそもホロヴィッツ自身が、自分が手掛けた作品のことなども書いているので、かなり現実感がありました。
が、実話ではありません。

そういうふうな書き方をしているだけです。

被害者の過去と事件との関連性

物語は、有名な俳優を息子に持つ資産家で独り身の老婦人が、自らの葬儀を手配した6時間後に自宅で絞殺されたことから始まります。

被害者には約10年前、自分が運転する車で双子の男の子を轢き、一人は死亡させ、もうひとりは脳に障害を負わせてしまったのですが、禁固刑を免れていた過去があります。

二人は、殺害された老婦人が殺される直前に息子に送った「損傷の子、こわい」というメールから、被害者の関係者や過去の事件を調べていきます。

そうして被害者の葬儀の日に、別の殺害事件が起きるのです。

ホーソーンとホロヴィッツが、事故被害者の両親、乳母、老婦人の家政婦、葬儀社の従業員、演劇投資家、判事など登場人物の過去を調べていくのですが、どれもこれもあやしく思えてしまう見せ方は、さながらクリスティのようでした。
(カササギ殺人事件はクリスティへのオマージュ作品だそうです。)

第二の被害者についても、その妻や父親の話から、第二の被害者の過去もいろいろとわかってきます。

殺害方法や殺害手段などから、犯人を割り出すのではなく、過去に何があったのか?そこから犯人が深い憎しみを持つ動機となったきっかけが見つかり、真犯人たどり着いていくわけです。

いわゆるフーダニットではあるので、大仰なトリックなどはありません。

しかし、事件の真相をミスリードさせていく見せ方は面白かったですし、そのミスリードにもきちんと結末をつけているところも面白かったです。

深い動機を持つ真犯人

「メインテーマは殺人」の魅力を上げるなら、犯人の心理描写と殺害の真の目的が秀逸な点です。

動機の異様性が良いです。

犯人は、どうしても切り離せない家、本当の自分、破れた夢、そして今の自分、そのすべての要因をある人物への鬱屈した憎悪として昇華させるため殺害を犯したのです。

この異常心理的な殺害動機は、すっきりしないもやもやした感じが残りますが、逆に面白みにつながっていると思います。

「メインテーマは殺人」の感想

犯人が誰かは、後半である程度予想がつきました。ただ、それよりも、伏線の見せ方がなかなか良かったと思います。

ただ、詩のくだりとか知っている人にはすぐにピンとくるでしょうね。また、ハムレットの予備知識があるとさらに楽しめるのかなと感じました。

すべての情報はフェアに表出されているし、終盤でのホーソーンの特撮ヒーロー的な登場の仕方もある意味、お決まりのパターンではありますが、ドキドキしながらも安心して読めるかなと思いました。

最後のホロヴィッツがホーソーンの自宅をアポ無し訪問した場面は、印象的でした。

まとめ

一人称での書き方なのか、情景描写やホロヴィッツ自身の心理描写がややくどくて、今、どこでなにしているんだっけとつい振り返りたくなる部分がありましたが、内容的には面白かったです。

やはり、殺害動機が秀逸で、読後もいろいろと考えたくなる作品でした。

ちなみに、「メインテーマは殺人」は、シリーズものになるようです。