「杉の柩」の感想!読んでいくとクリスティの小説は最後まで疑わしい人物ばかりだった。


クリスティの「杉の柩」を読んだ感想です。クリスティ作品では法廷を舞台にしている小説としてはこれだけです。

また、ドラマでも放映されている作品ですので知っている人も多いかも知れませんが、小説を読んだので感想などを書いてみました。

「杉の柩」タイトルに秘められた意味とは?

まず、タイトルの「杉の柩」についてですが、原題は「Sad Cypress」。そのまま訳すと悲しい糸杉って感じです。

Cypress=イトスギですが、一度切るともう生えてこないことから喪の象徴とされていたようです。

そのため、タイトルに使われたのではないでしょうか?

ちなみに、ひつぎには、棺と柩がありますが、棺は死体を入れる棺桶のことで、柩は遺体が入った棺桶を言うそうです。

杉の柩を読んだ感想

杉の柩を読んでの感想ですが、相変わらず最後の最後まで疑わしい人物だらけで、真犯人が絞りきれない構成になっており、結末がわかると素直にそうだったのかという衝撃を受けました。

とはいえ、他のクリスティ作品よりも比較的ドンデン返しの度合いが弱い気がしました。

途中からなんとなくこの人が犯人かなという疑いは持てます。ただし、そこからクリスティが様々な要素を盛り込み、撹乱させミスリードさせてくるので、「あれ、やっぱりこの人は犯人じゃないのか」と推理の自信を揺るがせられてしまいます。

そういう心情の変化を感じることで、ラストで真犯人が明らかになると衝撃を受けるのだと思います。

それがクリスティが人気の高い理由だとも思います。

どんな物語なのか?

「杉の柩」という物語は、一人の資産家の老婦の死に、その遺産を手に入れるため殺人事件が起こります。状況証拠から老婦の姪っ子エリノアが犯人だと誰もが信じているところに主治医から依頼を受けたポアロが、真相を解明していきます。

法廷を舞台にもしているので、1部、2部、3部にわかれ、1部では事件が起こるまでを、2部でポアロが捜査をすすめていくまでを、そして3部では法廷を舞台に判決が出るところが書かれています。

ちょっとこれまでにない作り方だなと思いました。

本質はなにか?

人間は潜在意識の中で本当に願っていることが叶うものだということが本質だと思いました。

これは最後のエリアノが本当に必要としている人が誰で、その人物もエリノアを思っていたということでわかります。

そして、老婦人に好かれていた人物が殺害され、その犯人にも当てはまります。つまり、本質的には、自分はそれを望んでいなかったということが結果的にかなっているからです。

そういうことがわかりました。

こんな方におすすめ

ミステリーだけではなく恋愛要素も楽しめる小説ですので、トリックにはじまりトリックに終わるような小説以外を楽しみたい方におすすめです。

逆に、こんな方には向いてないかも

クリスティ作品を毛嫌いにせずに読んでみることがまずは大事かなと思います。つまり、ハズレ無しって感じです。

まとめ

クリスティの他の作品に比べるとちょっと大人しい印象ですが、読後はじわじわとその面白さが染み入ってくる印象でした。

まだまだクリスティ作品は読み続けますよ。