小説のインシテミルを考察してみました!

インシテミル 米澤穂信 文春文庫

ミステリーにクローズド・サークルというのがあります。

雪山で遭難してロッジに閉じ込められ、道は閉ざされ車は動かないような状況で次々に人が殺されていくといったパターンのものです。

で、そのクローズド・サークルものが読みたくなり、この本を購入しました。

感想は、なんだか煮え切らない印象でした。

ミステリーの結末って、スカッと解決するものもあれば、もやもやとして終わるものもあると思うので、煮え切らない印象というのはそれはそれで良かった場合もあります。

しかしながら、この本のもやもや感は、読了して、「結局、これってなんだったのか」っ思えてしまうところに物足りなさを大いに感じてしまう内容です

12人の人間が時給112,000円で殺人ゲーム的なものをやらされるわけです。殺し合いによる心理戦かと思いきや、そうでもないし、巧妙なトリックがあるわけでもない。

とにかくいろんなものが中途半端です。

また、クリスティやヴァン・ダイン、クィーンなど往年の古典ミステリーのネタや要素がちょこちょこと出てくるのですが、それを応用するわけでもなく、単に広げては収拾がつかなくなっている感じが見えてしまいます。

この辺は、作者のアイデア不足か技量不足でしょう。

 

また、謎が謎のまま終わってしまったりする場面がとても多いのも特徴です。要するに謎を回収できずに終わる作品です。

万事そんな感じですから、煮え切らないのです。

後半はロジックによる見せ場もありますが、それが続くわけでもなく中途半端になってしまっています。

この実験を主催した者の意図や、最終的に大金を(勝者にはさまざま倍率で報酬額がアップします。)手にしたものが、その大金が必要だった理由とかもよくわからないままです。

 

謎はすべて解明されてなくても良いとは思いますが、肝心な部分はきっちりと回収してもらいたいです。

結局は、人は金のために人殺しができるものなのか?ということをテーマ付けしたかったのでしょうか?

よくわかりません。

あと、気になったのは、主人公役の青年がどうにも大時代的なセンスだったことです。いきなりチャールズ・ブロンソンの名前が出てきたりしたのには面食らいました。

2010年より少し前にかかれているはずで、主人公は20歳です。そんな若者がチャールズ・ブロンソンなんて言うのかな?ってまた「よしんば」なんて言葉遣いもしたりします。

よしんばなんて言葉を使うのは、僕の知る限り張本勲さんくらいです。

またどう考えても、不自然な部分とかもあり、読んでいて白けました。

まぁ、なんだかなぁという作品ですね。

ちなみにインシテミルは映画化されていますが、こちらの方は、ひどい内容だったのでしょうか?僕は見ていないのでなんとも言えませんが。

そうそうインシテミルの意味は、淫するということで、耽るというような意味です。何に淫するのでしょうか?

やはり、よくわかりません。