まどろみ消去 森博嗣

まどろみ消去 森博嗣 講談社文庫

 

森博嗣氏の短編小説です。なにかの本で(森氏本人の)この短編が、ご本人の可能性の大多数が網羅されているみたいなことが書かれていたので読んでみました。

ストレートな感想は「どれも面白かった」です。

理由は2つ。

ひとつは物語のバリエーションが豊富であること。もうひとつは結末で、それまで見ていた視点を揺るがされてしまうからです。

どういうことかというと前提だと思って読んでいたことが、実は違うのかもと思わされてしまうのです。

このようなサプライズがあるので、おもしろいと感じられました。

 

収められている物語の本質的な部分を僕なりに抽出してみることにします。

「虚空の黙祷者」
時間の経過によって変化してしまうもの解決してしまうものがあるということ。つまり、時の流れがテーマなのではないでしょうか。

「純白の女」
人間の妄想でしょうか?それとも自分の中にあるさまざまな思考について書いているのかもしれません。

「彼女の迷宮」
嫉妬について書かれていると思います。

「真夜中の悲鳴」
ほんの些細なことが大きな影響を与えることがあるという話です。

「やさしい恋人へ僕から」
相思相愛の物語です。

「ミステリィ対戦の前夜」
ミステリィは、様々なパターンが有るわけです。

 

「誰もいなくなった」
物事の本質は何かと問い詰めれば、トリックは簡単にわかりますが、僕は見事にひっかかりました。つまり、本質を見破れなかったわけです。すべては表象されているということ。
「何をするためにきたのか」
思考は尽きないのです。何のためにということを考えていくと、どんどん深みにハマっていくというような内容です。考えることの意味を考える切っ掛けになるような物語でした。
「悩める刑事」
最後の文章の意味が何を指しているのかをはっきりとつかめません。

「心の法則」
願望について書かれています。

「キシマ先生の静かな生活」
キシマ先生という人物を通じて、一貫性というものを描いているのではないかと思いました。

 

森氏の狙いは全然違うのかもしれませんが、それは作者にしかわかりませんよね。そこで僕が勝手に感じた「これがテーマなのでは」ということを書いています。

でも、そういうふうに物語の本質を自分なりに探ってみる思考ゲームはなかなか面白いです。