体育館の殺人の感想を書いてみました。

体育館の殺人 青崎有吾 創元推理文庫

「体育館の殺人」は、軽い感じだけどミステリーの王道を行くような小説を読みたいと思い、買いました。カバーの裏面にある「平成のエラリー・クィーン」というキャッチコピーにまんまと引っかかった感じです。

とはいえ、十分に楽しめます。

内容は、高校の体育館で起きた密室殺人事件を高校生探偵が解決するというものです。

体育館というのは、人が大勢いる場所なので、一般的には密室になりにくいと思いますが、作者の体育館を物理的に密室にしてしまった巧みさは、なかなかだと思いました。

また、探偵役が、超秀才にしてアニメオタク男、しかも部室に住んでいるダメ人間キャラという異質な存在なのと、彼に対する物語の主な語り手になっている女子高生の主観が、ちょっとコミカルなので、くすっとさせられるところもあり、楽しく読めました。

 

トリック自体は、難しくはないと思います。密室が解けるのは、そこしかないだろうなと思っていたら、やはりそうでした。

英語のタイトルが、The Black Umbrella Mystery とあるように決め手になるのは、傘です。
なので、傘に注目し、時系列でストーリーを掴んでいけば、犯人がどういう動きをしたのかわかると思います。

ただ、それが確証的になるのは、やはり第4章の末尾に書かれた女子生徒の証言でしょうね。あとは可能性をひとつずつ消していけば、自ずと犯人に辿り着けるのではないでしょうか。

この女子生徒の証言で、扉一枚隔てて殺人犯と女子生徒が対峙するシーンがあるんですが、彼女の犯人を追い詰めたいという気持ちと犯人の焦燥しているであろう思いとが、同時に伝わってきて、非常に臨場感がありました。

ただ、全体を通して、印象的なのは、ラストです。探偵役が謎解きをして終わるのではなく、事件そのものが、ひとつの仕掛けのようになっていたことを見破り、懲らしめるところで終わっているので、読後感はなんとも言えない余韻を残したままになります。この辺の持って行き方は、作者の年齢を考えると、とても上手さを感じます。

全体的に無駄がないので、こういうミステリーは好きです。

ツッコミどころをあげれば、引っかかる点もありますが、トータルでみれば、面白い作品だと思います。