亜愛一郎の転倒 泡坂妻夫を読んだ感想

亜愛一郎の転倒 泡坂妻夫 創元推理文庫

 

亜愛一郎シリーズは、全部で4作品あり、その中の2作目です。短編なので理解しやすかったです。探偵役の亜愛一郎というのは、名前のインパクトもさることながら、見た目は非常にハンサム、今で言えばイケメンで、女性にもすごくモテます。でも、言動がおかしかったり、驚くと白目をむいて倒れてしまうようなどうにも変人で、すぐに女性から失望されてしまうというようなキャラです。

まぁ、明智小五郎と金田一をたして2で割り、そこに榎木津礼二郎のスパイスをさっとふりかけたようなイメージです。

とはいえ、榎木津礼二郎が登場するのは、亜愛一郎のずっと後ですから、スパイスのかけようがないのですが。

作品の話をすると、好きなのは「砂蛾家の消失」です。

土砂災害で止まってしまった列車で相席だった3人が、列車を降り、街へ向かうのですが、道に迷い、そうしてようやく見つけた家で起きる出来事に巻き込まれていきます。古くから伝わる子守唄が出てきたり、全体的に雰囲気が不気味で、読み進むに連れハラハラ感がつのっていくようでした。

奇抜なトリックはないのですが、いかにも怪しい人物がでてくるわけで、明らかになにかが起きていることはわかるのですが、いつどうやって起きたのかがわからない、そもそも本当に起きたのかどうかもわからないという謎に面白みがあると思いました。

伏線の出し方が、巧みなのでそのあたりはやはり奇術師としても優れていた泡坂氏の上手さだと思います。

他の作品にも通じる点ですが、ところどころユーモラスに表現などもあり、とにかく飽きさせないんです。ミステリーって、短編ではそうでもないけど、長編だとどうしても途中だれるんですが、泡坂氏の作品は、途中で途中で笑える箇所があったりして、飽きさせない流れになっていると思います。