ナイルに死す アガサ・クリスティー

「ナイルに死す」 アガサ・クリスティー ハヤカワ文庫

ナイルに死すは、もちろんミステリー小説ではありますけど、根底に流れているものは愛情なのです。したがって、その意味では恋愛小説的な内容としても読める小説ではないかと思います。

事件が起こる舞台は、ナイル川を遡る船上。

最初の殺人事件は、物語が200ページを過ぎてから、ようやく起こります。クリスティから与えられた状況から、犯人ではないであろうと思われる人物は、すぐに考えつくと思います。

しかし、肝心の誰が殺害したのか?については、事件が起こるまでに描かれた情景や登場人物それぞれの心情を想像していくことと犯人ではないだろうと思われる人物を消去していくと、ふと思いつくのではないでしょうか。

だが、そうやって考えていくと、一体どうやって犯行が可能だったのかという疑問が今度は大きく浮かび上がってきます。

そして、それこそが、「ナイルに死す」の面白さだと思いますし、その意外性こそが傑作と言われる所以ではないかと思います。

それにしてもエルキュール・ポアロの自信満々の性格は、少し鼻につきます。ポアロは完全主義者で、100%の裏付けがないと真相を解明してくれないので、ズバリと言い切られると、ドキッとしてしまいます。

もうわかったのか?って。

冴えない風采の探偵役が、鋭く事件を解決するというのが、多くの日本人には好まれるのではないでしょうか。

個人的には、それはそれでなかなか解決が遅くて、イライラしたりもしますけど。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする